What's the craic?

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アイルランドでマイホーム購入は夢のまた夢?『サンドラの小さな家』から考えるアイルランドの住宅問題について


What's the crack? エイレです!

 

先日、『サンドラの小さな家(原題:Herself)』という映画を見ました。アイルランドの住宅危機を社会問題として痛烈に風刺した内容だったので、紹介したいと思います。

 

『サンドラの小さな家』あらすじ
 

ダブリンに住むサンドラは夫の度重なる家庭内暴力から逃れ2人の娘を連れて、パブの仕事や掃除婦を掛け持ちしてシングルマザーとして育てていくことを決意する。しかし、ダブリンでは住宅危機が起きており、パートの収入で借りられるような価格の家がなかなか見つからない。国の公共住宅へ入居申請するも、順番は永遠に回ってくることはない。そこで、サンドラは政府が提供する自己建築プログラムを利用して、自分で家を建てることを決意する。

ネタバレになるので、この先は割愛しますがアイルランドにおける住宅問題がどれだけ深刻なのかよく分かる内容でした。

 

アイルランドの住宅事情

 

2008年のリーマンショックの影響から、アイルランド国内における不動産市場は急速に崩壊し、多くの人々が住宅ローンを返済できず、銀行に所有権が渡った多くの住宅が市場に出回ることになり、住宅価格が下落しました。

 

その後、アイルランド政府は銀行を救済するための資金を提供し、不動産市場を再建しようとしましたが、新築住宅建設の数は減少、住宅需要は高止まりし、アイルランドの主要都市では、住宅価格が急上昇は止まらず、簡単にマイホームが持てなくなりました。特に低所得者や難民などはテントで生活することを余儀なくされ路上生活者の増加は現在でもアイルランドで深刻な社会問題となっております。

住宅危機の原因は、2008年のリーマンショックによる金融危機以外にもあります。

 

政府が長年にわたって宅建設を怠ってきたこと、大都市圏での土地の高騰、投機的な投資などが挙げられます。また、長年にわたる公共住宅の不足も、住宅危機を悪化させています。(見出しの画像は、ダブリン市街にある公共住宅のひとつ)

現在、政府は住宅建設を促進するための予算を組み、公共住宅の建設を進めたり、投機的な不動産投資に対する課税を強化するなどの対策を取っていますが、リーマンショックから15年経とうとする現在でも解決の目処は立っていないのが現状です。

つい最近も、ダブリン市内の大学に通う学生が実家から大学まで片道2時間以上かかり、大学の敷地内にテントを張って暮らしているというようなニュースが出てました。

また、家の前に人々が長蛇の列をなして並んでおり、何事と思ったら空き家が出たので内覧のために並んでる…なんてのはよくある風景で、特にダブリンでは本当に家探しが難しいです。

ダブリンは中心街でも戸建て住宅の数が本当に多いです。公共住宅のアパートは3〜4階建てくらい。タワマンは皆無です。

 

大学を卒業した若い人々は、このような理由から家族を持つことがなかなかできず、30歳になっても両親と同居してる人は当たり前で、親から独立したい若者はドイツなどのEU圏内の国やイギリス、アメリカ、オーストラリア、カナダなど同じ英語圏の国に出ていく人が実際かなり多いです。

実際に同世代の知り合いのアイルランド人で両親から独立してアイルランドに暮らしている人は、IT系エンジニア、銀行・金融関連の仕事をしてるなど高給取りの人が多いイメージです。あとは、リタイアした両親から家をもらったりとか。

 

実際に、彼もアイルランドに住むことは考えておらず、大学卒業後はドイツで生活の基盤を作ってきているような状況です。

 

今日は、アイルランドの住宅危機というネガティブな面を紹介させていただきました。

 

 

では、Slant! 

 

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